pdとはproprioceptive derivation の略でDr Beach によって提唱された概念です。
元々は生理学的用語で一見すると人間工学と重なる部分もありますがそれを内包しそれ以上の考え方です。
歯科医療は人間が指先を使って行う作業の中でも突出して精密な動きを必要とされる作業です。
0.1ミリ以下の精度を要求される世界であり主に硬組織を対象とするためにやり直しが効かないことも特徴のひとつです。治療と言われる歯牙の切削も基本的には生体に対する傷害行為であり0.1ミリたりとも過不足が許されないステップであり、その後の修復作業が適切かつ十分に行われて初めて傷害行為が治療行為に変わります。そのような前提に立つとどのような作業条件でも成立するような簡単な作業ではないことがわかります。その精密作業条件を求めるためにもpd を使います。
proprioceptor とは固有感覚受容器です。人間には感覚受容器として外部受容器と内部受容器があり、その中間に固有感覚受容器があります。固有感覚受容器は主に筋肉や腱に存在しその緊張具合を脳に伝えます。
その刺激を統合することで脳は体がどういう状態であるかを認識します。つまりポジションセンサーの役割を果たしていることになります。精密作業を行う上において術者のあらゆる感覚が鋭敏に働くようにその術者の姿勢は非常に重要です。加えて術者を取り巻く環境要素も適切である必要があります。
その環境要素も姿勢と同様pd により求められます。固有感覚受容器による演繹という手法は本来歯科医療だけではなくあらゆるカテゴリーに応用が可能でDr Beach は都市計画すら夢見ていました。
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